島嶼(屋久島・薩摩硫黄島・吐喝喇)地区-私家版 九州温泉道ナビ

ここも入っとこ♨ 薩摩硫黄島 東温泉 ☆☆☆☆☆

温泉ガイド  →公式[三島村役場]

※九州温泉道指定施設ではありません
 吐喝喇(とから)の温泉は魅力的だけども、1週間も休みが取れない・・・。屋久島の温泉はいいけど、観光地って感じで秘境感がないよねぇ~・・・。ほらほら、そんな遠くに目を向ける前に、もっと手前にもうすっごいワイルドな温泉があるじゃないですか。わずかフェリーで4時間でつきますよ! (ただし週に3~4往復しかないけど)
 まず島に近付くと、港自体が温泉になっていることにビックリ! 湧きだした赤褐色の温泉水によって港全体が黄土色! (今回ビックリマークが多いな) ただ港をつくるときに掘り下げちゃったので、ここでは適温の入浴箇所はありません。あちらこちらでぷくぷくしているけど圧倒的な海水によって、温浴ではなく文字通りの海水浴になります。ここはあきらめましょう。(いちおう入ってみたけど^^;)
 さて、民宿に荷物を放り込むと、持ち込んだ自転車を出しましょう。(まあ徒歩でも大丈夫です) 海岸沿いの道は車では行けませんけど、自転車は大丈夫。10分ほど(徒歩でも30分ちょい)で、東温泉に到着です。もう夢じゃないの・・・という感じの3連の露天風呂。コンクリートで固められた通路以外、ともかく人工物がない、背後の絶壁と目の前の水平線が広がる海。これがあなたのものです。九州温泉道は男女別にならないところは指定しないのでここが選ばれることはないと思いますが、堅実な社会人が現実的に訪問出来る離島の湯としては九州の最高峰です。
 お湯は強烈な酸性泉。顔を洗ったりしないように。目が痛くて開けられなくなりますよ。必ずタオルは1本は湯につけずに取っておきましょう。温泉水が顔にかかったとき、濡らしてしまっていたら顔をぬぐうものがなくなります。また、硬貨を置いておくと一晩でピカピカになります。先客がおきっぱなしの硬貨はもう小さな円盤に。(環境汚染にならないよう、翌朝には持ち帰りましょうね)
 さてこの1湯で終わらないのが薩摩硫黄島の良いところ。島の北部に向かうと今度は海岸線が真っ白に(これまた温泉で)変色しているのがわかります。これは硫黄じゃなくてアルミニウムイオンのせいだそう。白い湯の花が盛大に出る温泉はだいたいアルミニウムイオンが多量に入ってますものね。坂本温泉はコンクリートで湯船が固められた「まとも」な露天風呂。ただし干満の具合を見極めないと、熱くては入れなかったり、流れ着いたゴミが底だまりの湯の間に浮かんでいるだけになります。入れるのは干潮と満潮の間ね。どちらかというと潮が引くタイミングがゴミが少なくて宜しいです。
 一方、ウタン浜温泉は石がゴロゴロしている礫海岸のお湯。こちらはさらに入ることができる時間が短く、潮が満ちてきた(引いていく)タイミングの前後30分ぐらいしか入れません。潮が満ちてしまうとただの海水浴、潮が引きすぎると湯が出てきません。日に2回、海面下に沈むので、川原の天然露天湯のように先人が湯船をつくった跡などありませんので、岩と岩の間の自然の窪みをみつけて入浴しましょう。
 1泊2日で温泉入り比べの旅。ぜったい後悔はさせませんよ。
 注意 夏期の訪問はオススメしません。インスタ映えしそうですが、実際は露天風呂で夏の日差しを浴びると干上がります。温泉を楽しむどころではありません。また、日没後は本当に真っ暗に(温泉も途中の道も)なりますので危険です。
〔2021.01更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【鹿児島本港南埠頭】から
○〔鹿児島〕→フェリーみしま 黒島片泊行き 乗船 〔硫黄島〕下車 徒歩35分 
3時間55分 二等3660円 1泊2日便・日帰便行き
6時間10分 二等3660円 日帰便帰り

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温泉道№176 屋久島 尾之間温泉 ★★★

温泉ガイド  →[屋久島町役場]

 「おのあいだ」か「おのま」か「おねま」か読み方がよくわからない(現地の表記も揺れてる)けど、至高の足元湧出湯です。
 真ん前に以前使われたらしい湯小屋があってそちらの風情もなかなかなのですが、現在の尾之間温泉の建物も年月を重ねていい風情に・・・。硫黄の香りがする熱い透明な湯が滔々と流れ去っていきます。足元湧出湯なので温度調整はできないみたい・・・あと数度下がるともっとゆっくり入れるんだけど・・・^^; なお大昔は裏手に露天風呂があったそうですが、新設される町営の国民宿舎に分湯するために、潰しちゃったそうです。(その後、国民宿舎は廃業して、JR九州ホテルが引きついでます)
 余談です。
 「温泉の効能」ということが言われますが、乱暴な話をすると私は「(温泉特有といえる)効能はない」と思ってます。一般にリストアップされる「神経痛・筋肉痛・冷え性・疲労回復・・・」というのは、温浴効果という温かいお湯による作用。つまり家庭のお風呂でも得られるものです。次には転地効果。これはふだんとは別の場所に行って、日常から解放されることによる療養ですね。ですので、温泉でなくとも旅行に行けば大なり小なりあるもの。
 1回の入浴でどうこうなるのは、皮膚への直接作用(アルカリ性だと皮脂と反応してぬるぬるに、強酸性だとカサカサに)ぐらいでしょう。あとは飲泉かな。厚生労働省も温泉療養には2~3週間程度の期間が必要とちゃんと書いてますし、湯治とはそもそもそういうものでした。「○○温泉に1回入ったら○○が良くなった」とかいうのは、もうスピリチュアルな領域で、アルカリイオン水とかを信じる世界です。
 「じゃあ温泉は意味がないのか・・・」というと、食べ物に例えて言えば「山陰に行ってノドグロを食べた」という感じでしょうか。栄養的には「近所のスーパーで買った冷凍サバを食べる」のと変わんないと思いますが、人は栄養のためだけに毎日食事をするわけではありません。画一的なハンバーグだけ(もちろん高級ステーキでも)食べるのはツマンナイ。いろんな場所にいろんな泉質を求めて旅するのは、いわば人生の湯楽でしょう。(逆に言えば、どこに行っても、岩風呂で、シャワーもあって、サウナがついてて、泉質の死んじゃった循環風呂は楽しくない)
 さて。足元から湯が湧き出るという九州でも希なロケーション、はるばる船で渡ってきた日常からの開放感、もちろん1泊されるでしょ? 1週間とまではいかなくとも、2日間、夕に朝に温泉も何回も入りますよね。ぜひ、屋久島の温泉の『効能』でリフレッシュしましょ。
〔2019.06更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【宮之浦港】から ※【鹿児島本港】【(鹿児島)谷山港】【指宿港】よりフェリー・高速船利用
[ナビタイム]
○〔宮之浦港〕種子島・屋久島交通 栗生橋・大川(おおこ)の滝行き 乗車 〔尾之間温泉入口〕下車 徒歩7分
64分 1310円 
68~73分 1310円 安房港経由
  ◆  ◆  ◆
【安房港】から ※【鹿児島本港】より高速船利用
[ナビタイム]
○〔安房港〕種子島・屋久島交通 栗生橋・大川(おおこ)の滝行き 乗車 〔尾之間温泉入口〕下車 徒歩7分
27分 660円 
  ◆  ◆  ◆
【屋久島空港】から
[ナビタイム]
○〔空港〕種子島・屋久島交通 栗生橋・大川(おおこ)の滝行き 乗車 〔尾之間温泉入口〕下車 徒歩7分
41分 970円 
45~48分 970円 安房港経由

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ここも入っとこ♨ 屋久島 平内海中温泉 ☆☆☆

温泉ガイド  →[屋久島町役場]

※九州温泉道指定施設ではありません
 言わずとしれた屋久島の観光名所の一つ、海辺に自噴する露天風呂。海への降り口に温泉分析表が掲示されているのがご愛敬。入浴のお作法についてはググって下さいな。いちおう干潮の前後に入浴可ということになってるんだけど、「干潮の前後の何時間?」ってみんな計画を立てる上で知りたいよね・・・。でも大潮の日と小潮の日では違うので私はやっぱりわかんない。○時間って決め打ちしているサイトも見かけましたが、鵜呑みにしないよう。もちろん大潮の日の方が長時間入れます。
 昼間は観光客が多いので、やっぱり真ん前の平内海中温泉荘に投宿して、早朝や夕方、そして日没後など狙うのがオススメ。湯船までコンクリートでスロープがつくってあるので、懐中電灯程度の灯りがあれば足元の危険はありません。ここは水着不可なんだけど、女性は宿の中(もちろん宿泊客のみですよ)でタオル巻きや湯あみ着に着替えて出かければ大丈夫。
 また、となりの集落にある湯泊温泉も足を伸ばしてみましょう。きれいに整備された露天風呂をスルーしてさらに奥に行くと、もうひとつ露天風呂が現れ、さらにそそりたつ岩場の窪みにも湯が湧いてます。ただし岩場の湯は、湧出量が少なく、水面下にも沈まないので(海水で洗い流されないので)あんまりきれいじゃない。そしてぬるい。冬場は入ったが最後、寒くて出られません(出たら海からの風がビュービューくるので出るに出られない)。まあ、手前の整備された方に入っときましょ。
 湯泊は干満関係なく入浴出来るので、平内海中温泉に入れない時間帯にこちらを訪問するといいですね。徒歩でも平内温泉から湯泊温泉まで徒歩でも20分ほど。
〔2021.01更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【宮之浦港】から ※【鹿児島本港】【(鹿児島)谷山港】【指宿港】よりフェリー・高速船利用
[ナビタイム]
○〔宮之浦港〕種子島・屋久島交通 栗生橋・大川(おおこ)の滝行き 乗車 〔西開墾〕下車 徒歩7分
1時間20分 1520円 ※〔海中温泉〕バス停より〔西開墾〕バス停の方が少し近い
1時間24~27分 1520円 安房港経由
  ◆  ◆  ◆
【安房港】から ※【鹿児島本港】より高速船利用
[ナビタイム]
○〔安房港〕種子島・屋久島交通 栗生橋・大川(おおこ)の滝行き 乗車 〔西開墾〕下車 徒歩7分
43分 920円 
  ◆  ◆  ◆
【屋久島空港】から
[ナビタイム]
○〔空港〕種子島・屋久島交通 栗生橋・大川(おおこ)の滝行き 乗車 〔西開墾〕下車 徒歩7分
57分 1190円 
61~64分 1190円 安房港経由

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温泉道№190 口永良部温泉 湯向温泉 ☆☆☆☆

温泉ガイド  →[湯向温泉]

 ※九州温泉道指定施設ではありません
 2019年の春、訪問してまいりました。白い湯の花がたっぷりと浮かんでいることで知られる湯です。
 ちょうど、脱衣場の床を板張りからコンクリート敷へ改修している最中で、ガツゴツと工事の音が響く中での入浴となりました。ぼんやり作業を見ていると、脱衣場の下からも湯気が・・・。これじゃ床板が傷むわけですね。文字通り源泉直上の湯。さらに、見上げてみると天井も酷いことになっていて・・・。「床の次は天井の改修ですね・・・」と尋ねると、「いやぁそこまでの予算はないので今回はここまで」だそう。台風が直撃したりしませんように。
 さて、かなり難易度の高い湯ですので攻略法を念入りにご紹介しましょう。
 湯向集落の民宿は1軒のみになり、ここは車送迎はしません。ドライバーの方は、本村港周辺の車を貸してくれる民宿に泊まるのが基本になりますね。「車・バイクは使わないよ」と言う方は、屋久島で自転車(もちろんクロスバイクです)を借りて持ち込むことになります。電動アシストチャリがあればなおさらよし。(知人はレンタルのクロスバイクで、私はマイ折りたたみ電アシチャリで往復しました。所要時間はどちらでも変わりません)
 つぎにYMAPをスマホへインストール。口永良部島は現在、噴火による避難がいつ必要になるか分からないので、公式に推奨されています。(島内は携帯電波の届かないところがあります)なお、火山灰は風向きの関係上、屋久島の方に流れていくので、以下に挙げた各温泉には降灰などの影響は全くありません。自転車ナビなどで勾配の続き具合をあらかじめ知っておくのも大切です。結論を言うと、ひたすら6km上り続け、ひたすら6km下り続けるような道です。事前にどこまで坂が続くのか知った上で、あと何kmこれが続くのかトレースしながらでないと、たぶん途中で心が折れます^^; ポイントは、急な上り坂はムリせず自転車を押し、自転車は下り坂を下る道具と割り切ることです。私たちは8:30に本村の宿を出発して9:50には着きましたが、最初の1時間が登坂、サミット通過後は颯爽と20分で湯向温泉まで下りました。
 口永良部島の温泉は、やっているのかやっていないかの情報が乏しく、屋久島町のサイトでもページによって書いてあることが違うので困ります。屋久島にある役場本庁は口永良部島内のことをほとんど把握していませんので、訪問の際は宿泊予定の島内の民宿に電話で聞くのが一番です。以下は2019年3月末に訪問したときの様子です。
◆本村温泉(本村港から徒歩ですぐ)・・・フツーに営業中ですが、湯はつまんない加水・加温・消毒の単純泉です。鉄分があるためやや褐色。湯量に見合わない湯船を作ったせいか、1つは空っぽ。外にも使われなくなった露天風呂があります。(実は、湯向も外に使われなくなった露天風呂があります。どうも湯量の計算をせずまずつくっちゃうのが口永良部流みたい)
◆西之湯(本村港から自転車10分)・・・台風で全壊したという情報を聞いていましたが、上屋が吹っ飛んだだけで湯船は健在でした。満潮になるにつれ湯が満ち(ただし熱くて入れない)、潮が引くと高温の湯が供給が止まるため温くなり入浴可となります。 ※(2021.06加筆)その後、建物も再建され、露天側が男優先、内湯側が女優先で運用されているそうです。無人の際はどちらに入ってもOK。24時間入浴可ということですが、17時すぎには地元の方が湯温調整してくれるらしい。それ以外の時間帯の入浴は、上記の潮の満ち引きとの関係を参考に計画を立ててるとよいでしょう。
◆寝待温泉(西之湯から自転車50分)・・・現在、全半壊して廃村のようになっている湯治小屋群の先に、土石流。そしてその先を乗り越えると土砂に半分埋まった湯小屋の入口だけが地元の方の尽力によって掘り出されています。温泉以外なにもない場所なのに、車を走らせて島民の方が入れ替わり立ち替わり入浴にこられているのが印象的でした。加水・加温いっさいなしのそのままで適温の白濁の硫黄泉・・・やはり良い湯はみなさん分かっておられるのですね。私も湯向よりこちらが好きかな。
 混浴となっていますが、実際は貸切湯のような運用をしているようです。異性の方がはいっていたら上がるのを待ちましょう。もともと、男湯と女湯があったのですが、施設をつくったあとすぐに二つの湯船を満たすほどの湯がでないことに気づき(口永良部標準のパターン^^;)、被災前から女湯は閉鎖されて混浴運用となっていたそうです。
 いつ崩れるか分かりませんので、雨天時の訪問や日没後の訪問はやめときましょう。なお、寝待温泉は放棄し、手前の立神温泉(現在は野湯)の位置に新しい施設をつくる計画があるそうですが・・・。噴火でそれどころではないですよね、きっと。町役場のサイトでは入浴不可となっていますが(土石流に埋まった時点からずっと公式見解はそう)、実際の現状は不明です。
◆立神温泉(寝待集落入口の公衆トイレ前の立神岩の根元)・・・干潮時に立神岩の根元で入浴可能(波が荒いときや小潮のときは海水が混入するので不可)で、寝待と同じ白濁の硫黄泉。実は一時期、露天風呂がつくられていたそうですが、これもずっと以前の別の台風で流出したとか。
 2023年度になぜか指定除外。まあ交通の便や情報の不確実性から見て指定された方が不思議なぐらいでしたから、「遊び心」じゃ済まされないクレームが九州温泉道事務局にあったのでしょうか。かわりに中の島の温泉ぐらい指定して欲しいなぁ。南西諸島の温泉群は、温泉ファンが夢想する日本でも指折りの秘湯群だから。登山技術が必要な山奥の湯と違って、休みさえ確保できればフェリー乗り場から徒歩でアクセスできますからね。 〔2023.03更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【宮之浦港】から
○〔宮之浦港〕→フェリー太陽 口永良部島行き 乗船 〔口永良部島〕下船 自転車80分 
※偶数日と奇数日でダイヤが異なるので注意。3m以上の波高の場合は欠航となり、冬期はその可能性が高い。また、ドック入りの際の代船は小型のため、欠航になる割合が高い。比較的安定しているのは初夏の時期だが、台風が来ると一発アウトになるので注意。

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ここも入っとこ♨ 口之島 瀬良馬(せらんま)温泉 

温泉ガイド  →[十島村役場]

※九州温泉道指定施設ではありません
 ああ、あなた、ここまで読み進めてきましたか・・・。ここからは温泉マニアを名乗るなら一生のうち一度は行ってみたい垂涎の秘湯たちです。しかも「命からがら-誰も行けない温泉」のようなガスマスクも必要ありませんし、麓から延々と何時間も登坂するために足腰を鍛えておく必要もありません。基本的に船に乗るだけです。歩かずとも、宿で借りた車で温泉に横付けることも可能。
 ただ問題なのは、その船。運航は週に原則2往復、しかもけっこう欠航になります。海が荒れると自分がいる島だけ船が素通りする・・・抜航(ばっこう)をくらうことも。とくに抜港されやすいのは平島と小宝島だそうで、1ヶ月閉じ込められたという「都市伝説」・・・じゃなくて「としま伝説」があるぐらい。そのため訪問には、予備日も含めて少なくとも1週間が必要となります。
 また、北から順番に訪問するより、往復する船で行きつ戻りつしながら島々を巡ったほうが効率的なので、数日前に船内で仲良くなって先に下船していった人と、数日後にまた船内で会うということが繰り広げられます。長期休み中の大学生と、「自分は社長だ、この島々に魅せられたんだ、仕事は部下がしているからいいんだ・・・」などと言い出す奇妙な大人たちが、今日も行き来している島々なのです。
 さて、厳しい休みを捻出しながら、できるだけ多くの島の温泉も訪れたいという方の狙い目は、臨時便が出る特別日程。悪石島の奇祭ボゼにあわせたボゼ特別便や、十島マラソンのためのマラソン特別便が便利ですが、当然メチャ混み。そこで、年に1回の健康診断のためのレントゲン特別便、年度末の小中学校の先生の赴任のための臨時便、そして国政選挙のための選挙特別便が組まれる週がポイント。まあ、これ以上のノウハウはぐぐって調べてもらうことにして、そろそろ温泉の話に行きましょう。
 各島の温泉の中で一番アクセスが厳しいのがこの口之島の瀬良間(せらんま)温泉です。港から徒歩だと約2時間、野生牛が途中いますので、宿で車を借りて自分で運転するか、同宿している人に仲良くなって乗せてってもらうほうが安心です。牛が襲ってきたりすることはないそうですが、やっぱり道路に牛がいたら、ねぇ・・・。そうそう、途中の口之島コミュニティセンターで温泉施設の鍵を借りるのを忘れずに。すでに借り出されているときはそのまま向かい、対向車が来たら話しかけて鍵を持っていたら譲り受けます。
 さて温泉施設の湯も良いのですが、ここの白眉は横に流れる温泉の川。滔々と流れているというより、そこここで湯だまりをつくっている自噴泉が、流れ出て小川になっているという感じですね。お好きな湯だまりで黄褐色の析出物を出すお湯を楽しみましょう。
 鹿児島からのフェリーが一番最初に寄港する島ですが、先ほどの理由により旅の中頃に入る湯となります。次に向かうのは悪石島か小宝島でしょうか。
 追伸。
 私の訪問時(2016年)後、露天風呂を改修・新設した際に、かなり泉源地をいじっているみたいです。ひょっとしたらもう適温で入浴できる野湯はなくなったかも知れません。試しに行ってみるか・・・と言っても、ここの温泉がツマンナイと口之島には他に温泉ないので、ちょっと訪問するにはリスクが高いですね。
〔2023.01更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【鹿児島本港南埠頭】から
○〔鹿児島〕→フェリーとしま2 名瀬行き 乗船 〔口之島〕下車 徒歩1時間50分 
6時間 二等6290円 
 

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ここも入っとこ♨ 中之島 東区温泉 ☆☆☆☆☆

温泉ガイド  →[十島村役場]

※九州温泉道指定施設ではありません
 口之島のお隣が中の島。船を下りてすぐ、港湾に面して東区温泉、西区温泉、そして民間会社の所有という天泊温泉の3つが並んでいます。
 東区温泉と西区温泉はいずれも堅牢なコンクリート堤防の内側にあって、ほとんど防波堤に埋まったような共同湯。ちゃんと男女別の浴室があって、吐喝喇では最もアクセスしやすく、入浴環境も良く、秘境感がある(矛盾しているなぁ)温泉です。24時間入浴出来るので、宿から抜け出して深夜一人で湯に浸かってみるのも乙なもの。なんでこんな距離に2つもと思いますが、実は港の中をよく見ると海底のあちらこちらで湯がプクリと出ているのが分かります。もちろん海水の方が圧倒的に多いので入浴に適した温度にはなりませんが・・・。これだけ出ていればそれぞれ目の前にお風呂をつくろうと考えるのも自然ですね。
 どちらも、満たされるお湯は白濁で硫化水素泉を有する温泉の王道です。なお1000円以上の寄付をすると、寄進札に名前が書かれて掲示されるサービス(?)があります。封筒に名前を書いてポストに入れるだけ。ぜひ孤島の温泉に名を掲げましょう。(掲示は確か1年間です。自分の名が掲げられたときに訪問する人って皆無だろうなぁ~)
 あと天泊温泉は建設会社の社員用の温泉だそうで、掘っ立て小屋感がすごい、金気臭のする温泉。距離はたいして違わないのに、あきらかに泉質が異なるのが面白い。工事がないと人は引き上げてしまうようで、そのときは心の中で感謝の声を掛けた上で入浴しましょう。(こんなことを九州島内で書くとトラブルのもとですが、吐喝喇ではぜったいその島に泊まらないといけないのでそういう人はいないでしょ、利用者各位。)
 追伸
 この次にある諏訪之瀬島には、瀬渡し船で渡る露天風呂の写真がネットでよく出てきますが、ほとんどの人は渡れていないようです。民宿の主人が船を出すのですが、「当日にならないと渡れるかどうか分からない」とあらかじめ言われますし、行ってみたところ「今日は波が荒いのでダメだね。ここ数ヶ月いってないけど・・・」ってことで私も未浴のまま。そこしか温泉のない島ですので、貴重な1日を潰すには勿体ないです。・・・著名な人がいくとなんだか一発で入浴出来てるみたいなのが不思議。
〔2021.01更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【鹿児島本港南埠頭】から
○〔鹿児島〕→フェリーとしま2 名瀬行き 乗船 〔中之島〕 下船 徒歩6分
7時間 二等6290円 

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ここも入っとこ♨ 悪石島 湯泊温泉 ☆☆☆☆

温泉ガイド  →[十島村役場]

※九州温泉道指定施設ではありません
 フェリーとからの運航は島の人たちによって支えられています。
 船を岸壁に着けるために艫綱(ともずな)を投げたりつないだりすることはもちろん、フォークリフトで生活物資などの積み下ろしをするのも島民自らが行います。皆さんヘルメットを被ってやってくるのですが、悪石島ではそのヘルメットやおそろいで着てるTシャツの「悪」の字がすごくかっこいい。有名なボゼ祭りがあり、吐喝喇で唯一の「フツーの観光客」が訪れる島なので、ちょっと「見られること」を意識した装いなんでしょう。なお、Tシャツはネットでも販売されてますよ(ヘルメットはさすがにないみたい)。
 湯泊温泉は、露天風呂、公営らしいちゃんとした浴場、そして砂湯の3つがあります。
 まずねらうのは露天風呂ですが、どうもボゼ祭りの前後には掃除するけど普段は放置状態らしい。そこで船が着くタイミングで、下船の準備をしている地元の方に「露天風呂に入りたいんですが・・・掃除は自分たちでしますから」とお願いしてまわると、地区で管理をされている人に連絡をつけていただくことができました。高圧洗浄機などの清掃用具一式をお借りして、バルブの開け方まで教えてもらいました。ちなみに・・・手前の男子浴場は山羊の糞だらけ、眺めの良い海側の女子浴場は台風の時にはいりこんだという巨岩がゴロゴロ・・・。男子浴場を数時間かけてきれいにし、バルブ開栓。やっったぁ一番風呂だぁ~。ヤッホ~。ささ濁りの土類泉だぁ~。
 つぎに「ちゃんとした浴場」に行きます。まあ普通です。ちなみにこちらが源泉で、さきほどの露天風呂への湯もこちらから配管が伸びてます。
 最後に砂湯。温泉の前の道を進んだ奥の「キャンプ場」兼「芝生公園」の位置にあります。屋根がかけてありますが、ちゃんと柵をしておかないと山羊が入り込んでこれまた糞をするので、ちゃんと閉めときましょうね。温泉水を引き込んでいるわけではないので、地熱オンリーの暖かい砂場。どうせ誰も居ないので、下着姿でさきほどの露天風呂まで移動、そこで砂を洗い流して3湯コンプリートです。
 なお、こんな面倒をかけたくない方は、ボゼ祭りの前後に行きましょう。ちゃんと観光客を迎えるために島の方が掃除をして待っていて下さいますよ。なお船着き場すぐの民宿は廃業してしまい、港から徒歩で30分ほど坂を上がった集落にしか宿は取れません。
〔2021.01更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【鹿児島本港南埠頭】から
○〔鹿児島〕→フェリーとしま2 名瀬行き 乗船 〔悪石島〕下車 徒歩17分 
11時間 二等7140円 

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ここも入っとこ♨ 小宝島 湯泊温泉 ☆☆☆☆☆

温泉ガイド  →[十島村役場]

※九州温泉道指定施設ではありません
 ここまでくると名瀬も近くなり、鹿児島からやってくる船のダイヤは数時間単位で遅れ、時刻表はまったく役に立ちません。すでに最初の寄港地である口之島で、荷役作業や海の荒れ方次第で1時間あまり遅れて出校することも珍しくないそうですから。そのため、前の島を出港したときに次の島に連絡が入り、それをうけて島内に「○時○分頃入港の見込みです」という放送が流れる仕組みが「整備」されています。どの島でも滞在していた宿を出るのはこの放送を聞いてから。ゆっくり準備を始めて充分間に合います。
 さて温泉のお話に行きましょう。旧船着き場に面した、真四角な3連のコンクリート枡のような湯船。これが小宝島の湯泊温泉です。かつては屋根があったようですが、台風で吹っ飛んでしまったんでしょう。フェリーのりばが別の場所に移ったこともあってそのままみたい。真っ白い濁り湯、コンクリートむき出しの浴槽、青い空・・・、ああ心が解けていく。
 お湯から上がると、すぐ道の脇に別府の坊主地獄のように泥が湯気を噴いているのに気付くでしょうか。いちおう「小宝島泥火山」という名前があるそうです。さらにもうちょっと先には、珊瑚の岩盤をくりぬいた真砂(ましょ)の湯があります。ただ、お湯が激アツなのと、製塩業者が設置した汲み上げモーターがうなりを上げているのと、多量の打ち上げられた発泡スチロールのウキが転がっているのとで、環境は今ひとつ。そちらの方が、秘湯といえば秘湯なんでしょうけど浴感は湯泊が上だと思いますよ。
 なお、小宝島はサンゴ礁が隆起した島で、他の有人島と違いぺったんこ。海岸を外周する道路もあって軽々と一周出来ちゃいます。自転車を持ち込んでのサイクリングも快適かも。ただ、逆に言うと港も浅く、もう着岸するときの揺れの大きさと行ったら・・・。船に掛けられたタラップの上下動も半端なく、ビビってたらタラップを押さえている島の人から「早く乗って!」と言われちゃいました。そうですよね、必死でタラップ押さえているのでたいへんそうでした。スイマセン。
〔2021.01更新〕

交通案内   →グーグルマップ

【鹿児島本港南埠頭】から
○〔鹿児島〕→フェリーとしま2 名瀬行き 乗船 〔小宝島〕下車 徒歩18分 
12時間 二等8170円 
  ◆  ◆  ◆
【(奄美大島)名瀬港】から
○〔名瀬〕→フェリーとしま2 鹿児島行き 乗船 〔小宝島〕下車 徒歩18分 
4時間 二等4830円 

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