天草の中心街は、天草下島と天草上島の接点に位置する本渡(旧本渡市)と天草下島南端の牛深(旧牛深市)です。合併前の各市町が整備した三セク温泉･入浴施設も各地にありますが、やはり古くからある下田温泉と歴史は浅いながらも九州温泉道指定の弓ヶ浜温泉がイチオシかな。
　天草の島々は自治体が入り組んでおり、中ぐらい以上の島で言うと、戸馳島が宇城市、大矢野島･維和島･湯島･天草上島の東半分･樋島が上天草市、のこりの天草上島･天草下島･御所浦島が天草市、獅子島･諸浦島･伊唐島が鹿児島県長島町となってます。書いていても、いまだによくわかんない。
　素直に宇土半島から入るルートの他、長崎市茂木港や島原市口之津港、鹿児島県長島町蔵之元港などからの船でのアクセスも楽しい。化石で有名な御所浦島には「なんでこんなにあるの？」というぐらい航路があるので、三角港などから御所浦島を中継して本渡まで船の旅などもいかが。
　さて、天草五橋をわたるとあちらこちらに採石場があるのに気付かれると思います。「観光地なんだから砂利なんか掘るのやめとけばいいのに･･･」と最初は思ったんですが、実は天草陶石という良質の陶磁器の原料なんですよ。ここで採掘された石が有田に運ばれて有田焼になるんですね。
　また、「教会めぐりを」と考える方もいると思いますが、世界遺産候補になったことで事前登録が必要になっています。もう数年おいて沈静化してからの訪問をお勧めします。祈りの場の空気をひとりで深呼吸して感じるのが教会めぐりの醍醐味だと思うのですが、人が右往左往している中ではただの建物見学になってしまいそう。
　天草へのバス旅には、熊本～天草の快速バス往復と天草島内のバスが乗り放題になる2日4200円、3日5300円のあまくさ乗り放題きっぷがおトク。熊本～天草(本渡)間の快速バス往復運賃が4480円ですので、天草島内はタダのようなものです。なお、わくわく1dayパス 全県版2000円では、天草～熊本間の快速バスの利用ができないので注意しましょう。
　なお天草市のサイトにある公共交通 de あまくさ プチたびはモデルコースとして参考になりますよ。

　苓北火力発電所の税収をもとに唯一合併しなかった天草の町です。
　富岡港から長崎市茂木にぬける高速船ルートを使えば、バス旅ならではのユニークな行程が組めます。オススメは、富岡港から下田港へサンセットラインを通る夕方の巡回バス乗車(日没にちょうどなるよう乗る季節も合わせましょう)。産交バスが撤退して残念に思っていたところ、町がちゃんとカバーしてくれました。

　宇土半島の北半分を占める宇土市。宇土駅からは、轟水源・宇土城跡・船場橋界隈などをワンセットにした散策がよさそう。コミュニティバスを古城町あたりで降りるといいかな。また、三角線の車中からも見える御輿来(おこしき)海岸は、CMで長部田海床路(かいしょうろ)がとりあげられて一躍有名に。潮が満ちると海の中に電柱の列が沈んでいくさまは格好の写真スポットです。
　一方、宇土半島の南部からぐりっと内陸部に入り込むのは宇城(うき)市。旧宇土郡と旧益城郡の両方の町を含んでいます。半島の先端、三角はかつては島原や天草に渡る港として栄えましたが、架橋などによって衰退、全国でも指折りの有名駅弁だった「三角駅の鯛の姿すし」も姿を消してしまいました。しかし、三角西港が世界遺産に指定され、熊本から観光特急も走り始めました。天草五橋はシーズンにはかな～り渋滞しますから、バスから鉄道への接続は要注意。列車に接続する天草～三角の高速船の利用をお奨めしていましたが、残念ながら本渡～松島間が廃止され上天草止まりになってしまいました。
　三角駅、産交バスの三角産交、三角港(三角西港とは別！)はほぼ同位置で、交通結節点としては理想的なんですが、天草(本渡)行きの快速バスはほとんどは三角産交(三角駅前)によらず直行してしまうのが残念。JR利用の場合は網田駅で下車して御輿来海岸を堪能したのち、やってきた天草行きのバスに乗り継ぐのもいいでしょう。バスだと三角西港も通ります。
　また半島の南側、旧不知火町の松合という小集落には、船だまりに面した白壁の土蔵群があり、松橋駅から三角にむかうときにちょっと途中下車するポイントとしてオススメです。